Hib感染症について

(1)どんな病気でしょうか

 脳や脊髄を包んでいる膜(髄膜)に,細菌が感染して炎症が起こる病気を細菌性髄膜炎といい,その原因の約60%を占めているのが「インフルエンザ菌b型」(略して「Hib(ヒブ)」)という細菌でもHibは,せきやくしゃみなど飛沫を介して感染し,体内に侵入しますが,そのほとんどは無症状保菌者となり症状は起こりません。なお,冬に流行する「インフルエンザウイルス」とはまったく別物です。
  Hibによる細菌性髄膜炎は,5歳未満の乳幼児がかかりやすく,特に生後3か月から2歳になるまではかかりやすいため注意が必要でも細菌性髄膜炎の初期症状は,発熱や匝吐,不機嫌,けいれんなどで,風邪などの他の病気の症状と似ているため,早期に判断するのが難しい病気でも日本のHibによる細菌性髄膜炎の年間患者数は少なくとも600人と報告されており,5歳までに2000人に1人の乳幼児がHibによる細菌性髄膜炎にかかっていると推測されます。
  また,Hibによる細菌性髄膜炎にかかると1か月程度の入院と抗生物質による治療が必要となりますが,治療を受けたとしても約5%が死亡し,約25%が発育障害,難聴,てんかんなどの後遺症が残ります。

(2)ワクチン接種について

【標準的な接種方法】
○生後2か月から7か月に至るまでの間に接種を始める場合(接種回数:4回)
【標準的な接種方法を逃した場合】
○生後7か月から12か月に至るまでの間に接種を始める場合(接種回数:3回)
○生後12か月から60か月に至るまでの間に接種を始める場合(接種回数:1回)

(3)ワクチンの副反応について

主な副反応は,注射部位の赤み,腫脹,かゆみ等があり,全身反応として発熱,不機嫌等があります。副反応のほとんどは数日で消失します。まれに生じる重篤な副反応としては,ショック,アナフィラキシー様症状,けいれん,血小板減少性紫斑病があります。

(4)予防接種による健康被害救済制度について

○ 定期の予防接種によって引き起こされた副反応により,医療機関での治療が必要になったり,生活に支障がでるような障がいを残すなどの健康被害が生じた場合には,予防接種法に基づく補償を受けることができます。
○ 健康被害の程度等に応じて,医療費,医療手当,障害児養育年金,障害年金,死亡一時金,葬祭料の区分があり,法律で定められた金額が支給されます。死亡一時金,葬祭料以外については,治療が終了する又は障がいが治癒する期間まで支給されます。
○ ただし,その健康被害が予防接種によって引き起こされたものか,別の要因(予防接種をする前あるいは後に紛れ込んだ感染症あるいは別の原因等)によるものなのかの因果関係を,予防接種・感染症医療・法律等,各分野の専門家からなる国の審査会にて審議し,予防接種によるものと認定された場合に補償を受けることができます。
○ 対象年齢を過ぎて接種を希望する場合は,予防接種法に基づかない接種(任意接種)として取り扱われます。その接種で健康被害を受けた場合は,独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく救済を受けることになりますが,予防接種法に比べて救済の額が概ね二分の一(医療費・医療手当・葬祭料については同程度)となっています。
※ 給付申請の必要が生じた場合には,診察した医師,又は保健所保健予防課へご相談ください。

(5)接種できない人

① 発熱している人(一般的に37.5℃以上の場合)
② 急性疾患にかかっている人
③ 予防接種を受けてアレルギー反応や異常な副反応を起こしたことがある人
④ 麻しん・風しん・おたふくかぜ・水ぼうそう・BCG等の予防接種を受けて27日間以上経過していない人。その他の予防接種を受けて6日間以上経過していない人
⑤ 医師が不適当な状態と認めた人

(6)受けるにあたって

① 医療機関で必ず体温を測定し,診察を受けてから接種します。
② 予診票は接種してもらう医師への大切な情報です。責任をもって記入してください。
③ 接種当日は,激しい運動はさけてください。当日の入浴はかまいませんが,注射した部位をこすらないようにしてください。
④ 接種後6日間は,他の予防接種を受けられません。
※予防接種を受けたあと30分間は,医療機関でお子さんの様子を観察するか,医師とすぐに連絡がとれるようにしておきましょう。急な副反応が,この間に起こることがあります
※接種後,接種部位の異常な反応や体調の変化があった場合は,速やかに医師の診察を受けましょう。
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