日本脳炎ウイルスの感染でおこります。ヒトから直接ではなくブタなどの体内で増えたウイルスが蚊（か）によって媒介され感染します。症状が現れずに経過する（不顕性感染）場合がほとんどですが，症状が出る場合には6～16日の潜伏期間の後，高熱，頭痛，嘔吐（おうと），意識障害，けいれんなどで発病し，引き続き急激に，光への過敏症，意識障害，けいれん等の中枢神経系障害（脳の障害）を生じます。近年の患者は年間数名で，おもに50歳以上の中高齢者で，小児での患者はまれです。発生地域は西日本地域中心ですが，ウイルスは北海道など一部を除く日本全体に分布しています。

免疫のつけかた（標準的な例）
1期　生後36か月から90ヶ月に至るまでにある者
・初回　6から28日間隔・2回
・追加　約1年後
2期　9歳から13歳未満
日本脳炎予防接種のこれまでの経過及び接種の特例
日本脳炎の予防接種後に重い病気になった事例があったことをきっかけに，2005年度（平成17年度）から2009年度（平成21年度）まで，日本脳炎の予防接種のご案内を行いませんでした（いわゆる「積極的勧奨の差し控え」）。その後新たなワクチンが開発され，現在は日本脳炎の予防接種を通常通り受けられるようになっていますが，1995年（平成7年）6月1日～2007年（平成19年）4月1日に生まれた方は，日本脳炎の予防接種を受ける機会を逃していることがあるため，接種の特例として20歳に到達するまでの間に定期予防接種ができるようになりました。母子健康手帳をご確認いただき，接種が不足している場合は接種を受けてください。

　臨床試験による副反応としては，発熱（18．7％），せき（11．4％），鼻水（9．8％），注射部位の・発赤（8．9％）等の副反応が認められています。（注：1）また，ADEM（急性散在性脳脊髄炎）（注：2），脳症等の重大な副反応の発生も否定でざません。なお，海外では日本脳炎以外の乾燥細胞培養ワクチンにも接種後にADEMの発症例が報告されています。　　　　　　　　　
（注：1）生後6か月以上90か月未満の臨床試験によるものです。
（注：2）一般にウイルス感染後，あるいはワクチン接種後に，まれに発生する脳神経系の病気です。ワクチン接種後の場合は，通常数日から数週間程度で，発熱，頭痛，けいれん，運動障害などの症状がでます。

○定期の予防接種によって引き起こされた副反応により，医療機関での治療が必要になったり，生活に支障がでるような障害を残すなどの健康被害が生じた場合には，予防接種法に基づく補償を受けることができます。
○健康被害の程度等に応じて，医療費，医療手当，障害児養育年金，障害年金，死亡一時金，葬祭料の区分があり，法律で定められた金額が支給されます。死亡一時金，葬祭料以外については，治療が終了する又は障害が治癒する期間まで支給されます。
○ただし，その健康被害が予防接種によって引き起こされたものか，別の要因（予防接種をする前あるいは後に紛れ込んだ感染症あるいは別の原因等）によるものなのかの因果関係を，予防接種・感染症医療・法律等，各分野の専門家からなる国の審査会にて審議し，予防接種によるものと認定された場合に補償を受けることができます。
○対象年齢を過ぎて接種を希望する場合は，予防接種法に基づかない接種（任意接種）として取り扱われます。その接種で健康被害を受けた場合は，独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく救済を受けることになりますが，予防接種法に比べて救済の額が概ね二分の一（医療費・医療手当・葬祭料については同程度）となっています。
※給付申請の必要が生じた場合には，診察した医師，又は保健所保健予防課へご相談ください。

１）発熱している人（一般的に37．5℃以上を超える場合）
２）急性疾患にかかっている人　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　′
３）予防接種をうけてアレルギー反応や異常な副反応をおこしたことがある人
４）麻しん・風しん・おたふくかぜ・ポリオ・水ぼうそう・BCGの予防接種を受けて27日間以上経過していない人，その他の予防接種を受けて6日間以上経過していない人
５）医師が不適当な状態とみとめた人

１）医療機関で必ず体温を測定し，診察を受けてから接種しましょう。
２）予診票は接種してもらう医師への大切な情報です。責任をもって記入してください。
３）接種当日は，激しい運動はさけてください。当日の入浴はかまいませんが，注射した部位をこすらないようにしましょう。
４）日本脳炎接種後6日間は，他の予防接種を受けられません。
※予防接種を受けたあと30分間は　医療機関でお子さんの様子を観察するか　医師とすぐに連絡がとれるようにしておきましょう。急な副反応がこの間に起こることがあります。
※接種後、接種部位の異常な反応や体調の変化があった場合は速やかに医師の診察を受けましょう。
■女性への注意事項
　妊娠中若しくは妊娠している可能性がある場合は，予防接種の有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合を除き，原則として接種を受けることができません。出産後又は妊娠していないことが確認された後，適当な時期に接種を受けてください。